ドイツワインレポート
モーゼル ラインを、店主まーちゃんがゆく・・


●いよいよラインガウだ!
ワグナー博士家をあとにし、モーゼル川に別れを告げ、ローカル線を乗り継いで 着いたのはリューデスハイム。ここはライン川観光のツアーでも良く訪れる町なので、行ったことがある方もいるかも知れません。ここまで来れば日本人がいっぱい居るだろう、という予想に反し、会ったのは1組の個人旅行者らしき人のみ。その晩は、つぐみ横丁という飲み屋やレストランが軒を連ねる通りで遅い夕食を取りました。ウィーン風カツレツをリースリングクリームで食べるという一品がとてもおいしかったです。プリュム家の奥様に教えて頂いたリースリングの煮込みもきっとこんな感じのまろやかさなんだろうなあと思いました。リューデスハイムまで来ると、ワインはラインガウのものに替わります。知らない生産者のものでしたが、90年のアウスレーゼがグラスであ ったので頼んでみました。6〜700円くらいと安かったですが(それでもグラスワインのリストの中では一番高かった)まだ充分に若さもあり、また、モーゼルのリースリングとは一味違う芳醇さがありおいしかったです。

ケスペルヘアさん さて、ドイツ到着3日目は、ラインガウ観光とワイナリー巡り。約束の8時半より少し早く、今回のワイナリー見学ツアーを現地でコーディネートしてして下さったケスペルヘアさんがホテルにお迎えにきてくれました。彼は、世界中の顧客(輸入商)に現地のワイン情報を教え、輸出入をコーディネートする仕事をしています。とても大柄な方で、ワインというよりはビール派のような印象をもちますが(笑)、名刺には、「シュバリエ・デュ・タストヴァン」(利き酒騎士)。わあ、すごいよ〜!今日はどんなお話が聞けるか楽しみです。

●シュペトレーゼ発祥のヨハニスベルク城
ヨハニスベルク乗り心地の良いBMWはまるで流れるように葡萄畑の中を走ります。「あそこに見えるのがシュロス・ヨハニスベルク。丁度いい写真ポイントだから車を停めてあげよう」と言われ、1枚写真を撮りました。モーゼルの急斜面の畑とは全然風景が違い、とても広大。その中にあまり交通量のない道路が通っていて、とても気持ちの良いドライブです。
しばらく走るとさっき写真を撮ったシュロス・ヨハニスベルクの正面に着きました。ここは、817年にカール大帝の葡萄の植え付け令によって葡萄畑となり、その後ベネディクト派の修道院となったところです。

そして、この城が何より有名なのは、1775年にここでシュペトレーゼが発見されたからなのです。ご存知のようにシュペトレーゼとは遅摘みにして糖度があがった葡萄で作られるワイン。当時、収穫は土地の領主の判断が必要でした。それは葡萄をもって領主の所に馬を走らせ、OKが出れば収穫するというやり方だったのですが、1775年の使者が帰る途中で病気になり、例年より城に帰るのが遅くなったのです。この遅れで葡萄は通常の収穫期を逃してしまいましたが、出来上がったワインが素晴らしいものだったのです。こうしてシュペトレーゼが発見されました。ここは高台になっているので、葡萄畑とライン川を見渡せる素晴らしい景色です。目の前はラインガウ、川を挟んで左手はラインヘッセン、右手の後方はナーエと3つの産地が一度に見えます。また、畑の中には「北緯50度」の立て札もありました。


  

 
シュペトレーゼ
私達の後ろが、「シュペトレーゼ発見」となった記念の像。手に葡萄の房を持っています。

プリンセス サンドラさん ●キューン家は要チェック!
次の目的地はキューン家。このワイナリーは最近数々の海外グルメ・ワイン雑誌で高く評価されており、日本でもこれから急激に知名度が上がることは間違いありません。当店でもうまく行けば、この秋頃から取り扱いが出来そうです。色とりどりの花が咲き乱れる美しい白壁のワイナリーでは、キューン家のお嬢さん、サンドラさんが応対してくれました。彼女は2000年のラインガウ・ワイン・プリンセスで、笑顔がとても愛らしい方です。ちなみにドイツでワインプリンセスに選ばれるには、美しいだけではなく、ワインの専門知識も必要なんですよ。この4月には東京でのラインガウ・プロモーションもこなしたというサンドラさんが、ボトルを開けてくれます。

キューン家は1786年からのワイン作りの歴史があり、現在の当主ピーターさんで11代目。ピーターさんはこの地区で葡萄の病気や害虫による被害を食い止めるためのパトロールグループのメンバーで、自身のワイナリーだけでなく、地域全体のワインの質向上のためにも頑張っています。また、ケスペルヘアさんによると、ピーターさんは設備投資を惜しまない方で、最新機器を導入してワイン作りを行っているそうです。その情熱と先進性は、スタイリッシュで現代的なラベルや、人工コルクの導入等に見てとれます。 ワインはQBA〜アイスワイン、シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)で作った珍しい白!も試しました。モーゼル三昧だった舌には、キューン家のラインガウワインには非常に厚みを感じました。しかし、ぼってりした感じではなく、あくまでエレガント。シャープな印象のラベルは、味をそのまま表現しているように思いました。酵母は基本的に純粋酵母で、どうしても発酵が進まない時にだけ培養酵母を使うそうです。伝統を守りつつも、合理性も持ち、新しい事にもチャレンジしていく有能な生産者という印象を強く持ちました。この蔵はきっと数年のうちに大変な名声を得るでしょう。

ステンレスタンク カビが全くない(普通は長年の湿度でセラーはカビがはえています)清潔そうなセラーに案内して貰うと、今まで見てきたセラーとあまりに違って、小さな工場のようにぴかぴかのタンクがずらり。まるで衣類乾燥機のような小さなものから、見上げるほどの大きなものまで、作るワインの量やランクで使い分けるそうです。また、去年カリフォルニアで見たのと同じ、ラベル貼り機もありました。瓶詰め機だけは自前のものがないそうで、その時期だけ借りるそうです。
キューン家では、お花が咲き乱れる美しいお庭でのテイスティングを心から楽しみました。サンドラさんとも年齢が近いせいか、リラックスしてお話できて、印象に残る訪問になりました。帰りに、ワイン・プリンセスのポストカードにサインを頂きました。)

 
キューン家
かわいらしい外観のキューン家。


グラスファイバータンク
キューン家のセラーは、ご覧のとおり設備もぴっかぴかの最新です。

シュタインベルガー●銘醸畑シュタインベルガー
お次は銘醸畑シュタインベルガー。ここは1135年に創建されたクロスター・エーベルバッハ(エーベルバッハ修道院)の畑。現在はクロスター・エーベルバッハを管理する州営醸造所が単一所有しています。この畑はドイツでは珍しく、周囲を石の壁で囲まれています。この壁に沿っても葡萄樹が植えられていて、石壁が太陽の熱を蓄えるので葡萄は更に良く熟します。この壁沿いの葡萄を原料としたワインはマウアー・ワイン(壁ワイン)と言い、オークションでのみ売られるそうです。畑のなかに小さな休憩所があり、ワインを飲むこともできます。
「ドイツのリースリングは、トロッケン(辛口)と書いてあっても、どこかに甘さがあるような気がするんです」と私が言ったことをケスペルヘアさんが思い出し、「それは日本に本当に辛いトロッケンが輸出されないからだと思うよ。これを試してみなさい」と言われてここで飲んだワイン(ワインの詳細は忘れました。ごめんなさい)は、ちゃんと辛かったです。ピースポートのハールトさんもおっしゃっていたように、やっぱり輸出市場では今だ「ほのかに甘いドイツワイン」が期待されるからなんだろうなあと思いました。

粘土質土壌 この畑の一角は、州営のモニタリング地域になっていて、様々な葡萄品種が植えられています。良くみると、葉の切れ込みが深かったり浅かったり、円みを帯びていたりギザギザだったりとそれぞれ違う形をしていました。また、人工的に雨を降らせてデータを集めたりもするそうです。実験的に畝の一列置きに芝生を植えている場所もありました。そうそう、この畑にきて一番最初に「何か違う」と思った原因は土壌でした。昨日まで見てきたモーゼルのスレートは全くなく、普通の作物の畑の土のよう。ワインアドバイザー試験の時に、土壌を暗記した覚えがありますが、あれは試験のための暗記であって、やはり実際に土壌の違いを目にするまではしっかりと頭に残らないような気がします。今回自分の目で見たことで、私は一生忘れないと思いました。

エーベルバッハ●エーベルバッハ修道院
さて、次はこの畑を所有するクロスター・エーベルバッハへ。ここは12世紀に最も影響力を持った、厳格な禁欲主義シトー派の修道院で、ショーン・コネリー主演の「薔薇の名前」という映画が撮影された場所でもあります。

現在は修道院としての機能はなく、州営のワイン販売機関で観光スポット。ワインのオークションが開かれたり、カルタワイン(ラインガウの伝統的な味わいを持つワインとして認定されるワイン)の承認が行われたりもします。カルタワインのトレードマークの窓は、この修道院の窓なのです。耽美な回廊の奥にある礼拝堂は、この日、音楽祭に使われていました。最上級のワインを熟成させるため に使われた部屋には、ロウソクのあかりが揺れる中たくさんの樽がおかれてちょっと怖い感じ。修道士達が寝ていた部屋は講堂のような大部屋で、ここで床に直接寝ていたそうです。そして4時間おきに礼拝をしていたんですって。厳しい生活だったんですね。ここにはワインをテイスティングできる販売所があり、さっき見たシュタインベルガーのワインも売られていました。私はリースリングのジュース (ワインになる前のもの)を買いました。帰国してから飲みましたが、とっても甘くてまるでアルコールのないアイスヴァインのようでした。日本で一般的に売られている「葡萄ジュース」とは全く別物です。

続きは準備中。お楽しみに!
 
あずまや
シュタインベルガーの畑の中にある小さな休憩所。ここではグラスでシュタインベルガーのワインを楽しむことが出来ます。

モニタリング地域
モニター地域の立て看板。



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