《テーブルが華やぐワインとはまさにこれ！》

ルックスも文句なしの美しさ！
「ユリの咲く小さな庭」という名前も素敵。
才色兼備の南仏のスパークリング・ワインです。
ホームパーティーにも、ワイン好きの方へのプレゼントにもピッタリです。
同生産者で2アイテム入荷していますが、それぞれが全く別物の泡。
だから飲み比べも楽しめます。我が家でも2本同時開栓して楽しみました。

こちらは「ブランケット・ド・リムー」。
土着品種のモーザックが主体で、他にはない品種のスパークリングワインです。
シャルドネやピノ・ノワールのスパークリングに比べて、素朴で優しいイメージ。
製法：瓶内二時発酵。
スチールタンクで発酵、瓶内熟成12ヶ月以上。

ブランケットって毛布？？？と思ったあなた、正解です！
モーザックの葉っぱの裏に白い産毛が生えているからなんだそうです。

《シニアソムリエまーちゃんのテイスティングコメント》

りんご、黄桃のような果実香に加え、ジャスミンのようなフラワリーな感じも。
アタックこそ意外にドライに感じるものの、その後はアップルパイや焼きリンゴのようなふっくらと程良い厚みあり。
軽い甘みも感じられるようになり、尖りない酸とのバランスも良く親しみやすい味わい。

同時にご紹介するクレマンがシュッと洗練されたイメージなのに対し、このモーザックは素朴で柔らかなイメージ。
和食にも寄り添える優しさがあり、寄せ鍋やおでんなどにもお薦め。
もちろん、普段の様々な和洋中のおかずにも幅広く合わせられる万能泡です。

《辿り着いたのは、南仏のシャルドネの聖地》

ブルゴーニュに代々続くブドウ栽培農家出身であり、1986年にマコネでドメーヌ・デ・ドゥー・ロッシュを共同で立ち上げたジャン・リュック・テリエとクリスチャン・コロヴレイ。
故郷でワイン造りに情熱を注ぐ一方、ブルゴーニュの外にもシャルドネとピノ・ノワールの可能性を模索していた。

新たなテロワールを求める中、彼らが辿り着いたのは、南仏のシャルドネの聖地と名高いリムーのアルトニャック。
カルカッソンヌから南に約50㎞、リムーの中で最も標高が高く周囲の生産エリアよりも冷涼なオート・ヴァレ地区に構えるこのシャトーには、1970年代にラングドックで初めて植樹されたシャルドネやピノ・ノワールの畑が現存している。
当時のシャトーの所有者が元詰め生産者団体の設立者だったため、一部の造り手が彼に倣ってこれらの品種を南仏で栽培するようになったという、いわば「シャルドネの始まりの地」である。
1997年にシャトーを購入した当時、畑やセラーは荒れ放題だったが、ジャン・リュックとクリスチャンは3年がかりでワイン造りの環境を整えた。

《テロワールを近くに感じられるようなワイン造り》

97haの所有畑では14種類もの品種を栽培しているが、彼らが特に目をかけているのがこの古いシャルドネの畑だ。
ピレネー山脈を望む海抜400mの南斜面は、オート・ヴァレに典型的な粘土石灰土壌。
最も古い樹は、奇しくも彼らの出身地マコネからもたらされたクローンで、シャルドネ・ミュスクの別名を持つ通り、完熟するとミュスカのような芳香を放つ。
オート・ヴァレでも標高が高く、山の影響を受けた地中海性気候により12-30度という昼夜の寒暖差ができる。
そのためブドウの成熟期間が長くなり、理想的な糖度・酸度が育まれる。
また、このクローンの特性も最大限引き出される。

栽培は限りなくビオロジックで行い、土壌流出防止も兼ねて畑には自然の緑を残している。
また若樹のクオリティを確かなものにするため、独自の苗木場で培養した苗木を用いて植樹。
植樹密度も最大7000本/haまで高くしている。
自然堆肥の使用など、オーガニックなアプローチ。

ブドウのフレッシュさを保つために気温の低い早朝に収穫、自然酵母での発酵では温度は20度以下。
白は収穫後プレスし、低温でデブルバージュ。
自然酵母で発酵し、MLFも行う。その後バトナージュを行いながら熟成。
赤は低温浸漬の後に自然酵母で発酵。その後熟成。

初ヴィンテージの2000年で、既にベターヌ＆ドゥソーヴの目に留まり、「極上のシャルドネ」と絶賛を受けた。
またワイン・アドヴォケイト誌においても「並外れた成功作」と高く評価されている。
彼らは「これまで少しずつこの地に最適な手法を学んできた。今後も改良を重ねて、できる限りテロワールを近くに感じられるようなワインを造りたい」と謙虚な姿勢を崩さない。

(文章：佐野 雅子)